××夫婦、溺愛のなれそめ
三十分後、寄り道せずにマンションについた私が玄関を開けると、レヴィの靴の隣に同じような革靴が置いてあった。
まさか、義兄襲来……!?
ただいまも言わず、おそるおそるリビングのドアを少しだけ開ける。
キッチンの方で物音がする。声が聞こえてこないかと耳を澄ませると、二人の男の会話が聞こえてきた。
「ああレヴィ様、大事なものがはみ出しておりますっ」
「え? ああ……しょうがないだろ、こんなの初めてなんだから」
これは、神藤さんとレヴィの声だ。いったい何をやってるんだろ?
そっとドアを開けると、二人がいっせいにこちらを見た。
「莉子! 早かったね」
ぱああと輝くような笑顔を私に向けるレヴィ。ま、眩しい。
彼はなぜか、神藤さんのものと思われるエプロンを付けている。
「ただいま」
「友達は元気だった? やけに早かったけど、リフレッシュできた?」
「うん、ありがとう。ところで、二人で何をしていたの?」
キッチンの中をのぞきこむ。そこにはボウルに入ったひき肉をこねたようなものが。