××夫婦、溺愛のなれそめ
「無理をしなくていいとは言っても、莉子はいつも頑張ってくれた。僕は見ているだけで、手を出さなかった。ごめん」
「そんなこと……」
「あれ? 莉子、もしかして餃子が嫌いだった……?」
心配そうな顔で私をのぞきこむレヴィ。
何の悪意もなくそんなことをされたら、もう我慢できない。
「わ、あの、莉子?」
我慢しないと決めたら、目からぼろぼろと遠慮なく涙が零れ出た。
私、わかってほしかっただけなんだ。よく頑張っているねって。
「わあああん……」
「ねえ、莉子泣かないで。ごめんね、餃子嫌いなんだね」
「違うよぉ。むしろ餃子は大好きだよぉ」
慌てて餡が付いた手を洗うレヴィに、横から抱きついた。
「ありがとう、レヴィ。ありがとう」
こんなどうしようもない私を、こんなに大事にしてくれるの、あなただけだよ。
「あ、あ、えと……良かった。喜んでもらえて、ホッとした……」
びしょ濡れの手をどうにもできず、レヴィは両手を幽霊のようにぶらぶらしたまま、困ったように笑った。
私、負けないよ。あなたとこれからも一緒にいるために頑張るね。
できそこないの餃子の前で、私はそう誓ったのだった。