××夫婦、溺愛のなれそめ
あっという間に近づいてきて、義兄の手をつかんで放させてくれたレヴィ。
「赤くなっている。ひどいじゃないですか」
キッと義兄をにらみつけるヘイゼルの瞳が光る。
「ひどい? ひどいのはこの女だろう」
「あなたまで、莉子を責める気ですか。証拠があるんですか?」
私を背後に隠し、義兄と対峙したレヴィ。彼のセリフに、義兄はうなずいてみせた。
証拠だって? 何の証拠があるというのか。
黙って待つ私たちに向かい、義兄は一枚の写真を胸ポケットから取り出した。
「これ、先週の金曜日。この女は、情報漏えいした企業の男と会っていた」
その写真には、金曜にレヴィと内緒で会っていた私と博之の姿が。
「この男は、その女の元恋人だ。彼らは結託し、お前を騙していたに違いない」
「ウソよ!」
レヴィの後ろから出て、彼の横顔を見上げる。
ヘイゼルの瞳が、写真を凝視していた。信じられないというような顔を見て、胸が痛くなる。
「確かに、この人は元恋人よ。でも、別れてから連絡は取っていなかった」
写真の密会に至るまでの経緯を簡単に説明した。