××夫婦、溺愛のなれそめ
事件の結末

義兄の前から保護された私は、本来の終業時間までレヴィの執務室で匿われた。

結局その日は情報漏えい事件に大した進展はなく終わったらしい。

レヴィが家に帰ってきて、盛大なため息を吐いた。

「泣き寝入りしかないかもしれないな」

ぼそりとそう零す。

神藤さんがいたら額に青筋を立てて抗議しただろう。絶対に、このままにしておくべきではないと。

でも、誰かが相手の会社に情報を流した証拠が今のところ出てこない。

情報漏えいは悪質ならば警察が介入することもあるそうだけど、基本的には民事事件に相当するらしく、通報するよりもその道に精通している弁護士に任せようという話になっている。

弁護士が証拠を求めて社内を調査する。社員はお互いに疑心暗鬼のまま仕事をしなければならない。職場の雰囲気は格段に悪くなるだろう。

だからといって、何の調査もしなければ、開発部の面々が黙っていないはずだ。彼らが必死で生み出したものを、あっさり盗まれてしまったのだから。

一緒にため息をつきたくなったのを我慢して、買ってきたお弁当をテーブルの上に出した。

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