××夫婦、溺愛のなれそめ
一気に吐き出すと、レヴィの顔色が変わった。拗ねていたような顔から、怒りの表情に一変する。
吊り上がったヘイゼルの瞳の中央に、金色の光が宿る。
それを見て、やっと我に返った。
私、地雷踏んだかも。誰だって、身内の悪口を言われたら嫌な気持ちになるものだ。失敗した。
だらだらと背中を冷汗が流れていく。彼の目を見るのが怖くなり、うつむく。
すると、思いがけない言葉が降ってきた。
「バカ! 愚痴だってなんだって、僕に言ってくれよ」
「へ……?」
思わず顔を上げると、レヴィは相変わらず怒っていた。漫画なら、「ぷんぷん」と頭の上に書いてありそう。
「僕は莉子の夫なんだよ。なのに、僕を蚊帳の外に追い出して、きみの気持ちが辛いときに他の男に頼るなんて。僕に全部吐き出せば良かったんのに」
「で、でも……あなたは会社で最大限気を使ってくれていたし……。私にお義兄さんの愚痴を言われたって板挟みになっちゃうと思って……」
「それより、莉子が元カレに会いに行く方が、よっぽど、嫌だ!」
ぼそぼそとした私の言い訳を断ち切るように、レヴィが拳でテーブルを叩いた。
ドンという低い音がリビングに響き渡る。