××夫婦、溺愛のなれそめ
「どうぞ、隅から隅まで調べて」
私は自分のスマホをロック解除した状態でレヴィの前に差し出した。
そもそも友達がいないから、連絡先も最低限。
SNSも閉鎖状態。簡単なパズルゲームがひとつ、インストールされているだけ。いわゆる乙女ゲームの類も、アイドルの画像もない。
見られて困るものは皆無!
本来なんの自慢にもならないはずだけど、私は胸を張った。
レヴィはそれを見ず、私の方へ押し返した。
「莉子を信じるよ」
そんなこと言わず、もやもやするなら見ればいいのに。
そう思ったけど、私はそっとスマホをしまった。
「……食べましょうか」
初めて夫婦喧嘩らしきものをした私は、急に空腹を感じた。
帰り道の途中にあるお弁当屋さんで買った麻婆ナス弁当のふたを開ける。
「そうだね」
レヴィも一緒にかぱりとふたを開けた。彼が買ったのはハンバーグ弁当だ。
もそもそとそれを食べ始める。二人とも、食べ終わるまでは事件の話はしないでおこうとしているみたいだった。
咀嚼しながら考える。
いったい社内の誰が、情報を流してしまったのだろう?