××夫婦、溺愛のなれそめ
開発部の人間? それとも……。
考えても、答えにはたどり着けない。そもそも、私は入社したてで秘書室しか知らない身の上だ。
推測だけで犯人を追及するには無理がある。
「あ」
当たり前のことなのに、どうして今まで気づかなかったんだろう。
相手企業には博之がいる。彼に聞けばいいんじゃないだろうか。
いるはずだ。「今回の新製品の開発は自分がしたんだ、自分の手柄だ」と言いたげな人物が。その情報を持ち込んだ人物。
ガタッとテーブルを揺らして立ち上がった私を、レヴィはビクッと肩を震わせて見ていた。
「私、電話してみる。元カレに。何か知っているかもしれない」
「どういうこと?」
「今回の新製品開発者として、崇められ、賞賛されている人物がいるはずよ。おそらく、開発途中の段階から情報は少しずつ流されていたんだわ。だって、いきなり完成品データを手に入れただけじゃ発表なんてしないでしょ。あっちでも同じことをして、同じものの開発に成功しているんだ」
ダダーッと話しはじめた私を、レヴィはまあまあとなだめようとする。
「そりゃあそうだろう。それは僕も神藤も考えたよ」