××夫婦、溺愛のなれそめ
「あっちのキーパーソンが誰が聞いてみます」
「いいよ、そんなのあっちが話すわけないだろ」
スマホを持つ私。レヴィは呆れたように箸を置いた。
あっちで新製品開発プロジェクトを推し進めた人物。そいつが犯人だ。
おそらく、犯人は博之ではなない。彼は海外出張で日本にいなかった。情報は電子メールでもやり取りできるけど、直接手渡しの方が間違いない。
それに、彼は営業職だ。開発にまで口を出す権利はないはず。
「聞いてみなきゃわからないでしょ。私はあなたと夫婦でいたいの。こんな事件で終わりにするなんてできない」
レヴィは私のことを、まだ妻だと言ってくれる。
私も、レヴィと夫婦でいたいと思っている。
たとえ婚姻届が受理されていなくて、戸籍では全くの他人どうしでも、もう気持ちは夫婦なんだもの。
もう一度やり直すのよ。事件を解決して、ちゃんと両親顔合わせをして、自分たちで婚姻届を出すの。
最初から、順番を飛ばして間違えまくってきたけど、もう迷わない。
「私はレヴィに相応しくない」と何度も思った。でも、もう逃げない。
私は、レヴィを夫と呼ぶのにふさわしい女性になりたい。って言うか、なるって決めたの。決めたの、たった今だけどね!