××夫婦、溺愛のなれそめ
ぐっとスマホを握る手に力を込める。
レヴィはもう止めなかった。私は博之の電話番号を呼び出し、電話をかける。
短いプ、プ、プという音の後。聞こえてきたのは。
『この電話番号は現在使われておりません』
なんとも無機質なアナウンス音声。
「ふざけんなーーーーー!!」
どういうこと。もしかして、もう海外に帰っているとか? もしそうでも、いきなり番号を変えたりする?
苛立ってスマホをテーブルに乱暴に置いた。
「通じない?」
「番号自体、使えなくなってる」
「なるほど」
レヴィはあごに手を当てて考えはじめた。
「怪しいな。事件後すぐに携帯が通じないなんて」
「ということは……」
「彼が事件に関わっている可能性がある」
まさか。でも、そう言われれば。私からの追及をされないために、番号を変えたのか。
彼は出張から一時帰国している身。どこに寝泊まりしているか、聞いてないからわからない。
「あいつ、許さない!」
私をポイ捨てしたばかりか、ひとの会社の情報を盗みやがってー!