××夫婦、溺愛のなれそめ
思いがけないセリフに、思わず母の方を凝視してしまった。
母は、主役の私よりも幸せそうに微笑んでいた。
こんな母の顔、初めて見たような気がする。
「ええ、絶対に幸せにします」
レヴィが微笑む。私の胸に温かいものがじんわりと広がっていく。
なるほど。どこの親も、結局は自分の子は可愛いってことね。
そんなこんなで、食事会は和やかムードのまま幕を閉じた。
「あーあ、窮屈だったな」
みんなを見送った駐車場で、レヴィがうーんと伸びをする。
「これからどうする? そうだ、ドライブにでも行こうか。海がいい? 山がいい?」
「私、着物なんですけど」
「そうか、じゃあ近場がいいな。いつもよりきれいな莉子をもう少し眺めさせてほしい」
そう言われたら、早く脱ぎたいと思っていても言えなくなってしまう。
「……仲がよくて結構ですね」
「いたのか、神藤」
神藤さんはついてくるなとレヴィが言ったにも関わらず、自ら運転手を引き受けてずっと車で待機していた。