××夫婦、溺愛のなれそめ
【番外編】相容れないふたり
──私は神藤。
浅丘・レヴィ・瑛士さまの秘書を務めている。
「さあ、謝りなさい」
私は今、魔女に魂を食われようとしている。
いや、違う。
レヴィさまの恋人である女に、詰め寄られていた。レヴィ様のマンションで。
「神藤さん、私を思い切り疑いましたよね。コナ○君みたいに真由さんの罪を追及してましたけど、その前の日まで、私を汚いものを見る目で見ましたよね」
「そうでしたっけ」
「忘れたとは言わせないわよ! 今までの暴言の数々、謝罪しないのなら名誉棄損で訴えます!」
顔だけは美しい、けれど胸の奥には悪魔が潜んでいるこの女。
今は般若のような顔をし、私の胸に人差し指を突き立てている。
たしかに、あの事件で莉子さんを犯人だと決めつけ、責めてしまったのは私が悪かった。
しかし、あの状況ではそれが自然な流れであり、心のどこかで、これでこの馬の骨を浅丘グループから追い出せると喜んで、この女を追いつめた。
遠藤さんが犯人だと知った時、私は少なからずショックを受けた。
信用していた部下に裏切られたからというだけではない。
私はひそかに彼女を……想っていたのだから。
彼女のような完璧なお嬢さんこそ、レヴィ様の奥方にふさわしいと思っていたのに。