××夫婦、溺愛のなれそめ
女性なんて信じられない!
私はもう、女性なんて信じないぞ!
「なにを揉めているんだ?」
私たちが言い争いをしている(正しくは一方的に私が追い詰められている)声が聞こえたのか、仕事を終え、着替えを済ませたレヴィ様がリビングに現れた。
「ねえ、私この人にひとことも謝ってもらってないんだけど。人としてどう思う?」
「ああ……神藤、あれはお前が悪いよ。素直に謝るべきだ」
眉を下げて私を見るレヴィ様。
素直に謝るべき。そんなことはわかっている。でも、この女に頭を下げるなど、私の矜持が……っ。
「……神藤、さっさと言ってしまえよ。楽になるから」
レヴィ様がこそっと耳打ちする。
ええい、仕方ない。不本意ではあるが、謝ってしまうか。
「……ご」
「ご? 聞こえないわねえ」
「ごめ……」
言いかけたとき、胸ポケットでスマホが震えた。
「も、もしもし?」
咄嗟に出ると、それは仕事の電話だった。残業していた秘書からだ。秘書室のパソコンの調子が悪いという。
「すみません、すぐに会社に戻らなければ」
普段ならば社内のヘルプデスクに連絡するところだが、もう終業時間を過ぎている。