××夫婦、溺愛のなれそめ

「不快な思いをさせてすまない」

「神藤さんって、この部屋に自由に出入りできるの?」

さっき、玄関を開けた瞬間に彼がいてビックリした。これからも同じようなことがあると心臓に悪いな。

そう思って聞くと、レヴィは眉を下げて嘆息した。

「まあね。僕のサポートという意味で、この部屋の掃除や料理も彼がしてくれていたから。でも、きみがここに住むようになったら、彼の網膜パターンは削除させてもらうよ」

秘書なのに、部屋の掃除や料理まで? うっかり神藤さんがエプロンをつけて家事をしている姿を想像してしまった。意外に可愛いかもしれない。

「彼はまるで、あなたの奥さんね」

「気色悪いことを言わないでくれ。彼の父が僕の父の下で働いていて……話せば長くなるが、子供のころからの付き合いで、とにかく僕に尽くすことが彼の使命だと思っているみたいだ。他の者に頼もうとすると怒る」

「はあ……」

大事な王子様の親衛隊長ってことね。レヴィが普通の恋愛をできなかったのは、いつも影のように神藤さんがぴったりと寄り添っていたからじゃ……。

そう推測したけど口に出すのはやめておいた。推測で、二人の関係性にヒビを入れちゃいけないよね。




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