××夫婦、溺愛のなれそめ

「じゃあ、私がここに引っ越して来てもいいのね?」

「ああ。すぐにでも同居してほしい。籍を入れても別居していると、父に偽装結婚ではないかと疑われてしまうから」

正しくは、偽装結婚じゃなくて契約結婚だしね。

「せっかくの新婚生活のスタートだ。本らいなら新しい住まいを用意するところだろうけど、ひとまずここで始めよう。落ち着いたら新居の事を考えよう」

彼の提案に、反論などあろうはずもない。むしろ、密かに安堵していた。

今の賃貸マンションはあと二週間で契約が切れる。すぐ住める場所があって、本当に助かった。

そして、困難から逃れるための契約結婚なのに、色々と気を遣ってくれるレヴィの気持ちが嬉しい。

願わくば、この親切さが最初だけでありませんように。

うなずくと、レヴィは私をソファに案内し、自分も隣に座った。

「今後のスケジュールを決めようか。まず、莉子はいつここに引っ越せる?」

「二週間以内ならいつでも。と言っても、引っ越し業者を探さないといけないけど」

もともと私の家具は全部処分するつもりだったから、リサイクル業者を依頼してある。

残りの荷物は航空便で送るつもりだったので、まだ引っ越し業者のあてもない。



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