××夫婦、溺愛のなれそめ

資料を自分のデスクに置くと、すぐ昼休憩の時間になった。

そういえば、レヴィが連絡をくれるって言ってたっけ。

いそいそと携帯を見てみるけど、新着メッセージは……ない。

それだけで、ちょっと不安になる。私はまだ、レヴィのことを何も知らない。もしや、このまま連絡が取れなくなったらどうしよう……。

最悪の事態を想定してしまい、首を横に振った。

いけないいけない。レヴィを信用するって決めたんでしょ。元カレにひどいフラれ方をしたからって、人間不信になるな、私。まだ十二時。動揺するような時間じゃない。

軽いため息を吐くと、お腹がぐうと鳴った。幸い近くの社員は既に休憩に行っていて、誰にも聞かれなかった。

腹が減っては戦ができぬ、ってね。

バッグを持ち、売店に向かう。ご飯くらい、落ち着いて食べたい。こんなときに食堂はやめよう。じゃあ、どこに行けばいいか。

まるで友達がいない学生だな、と思ってまたため息が出た。

売店で適当にサンドイッチとコーヒーを見繕い、普段は誰も使わない非常階段でこっそりそれを食べた。

前は周りに見せびらかすように、元カレと食堂で楽しく会話をしながらランチしてたのに。

薄暗いところで冷めたコーヒーを飲むと、惨めさがつのった。罰が当たったのだな、としみじみ感じた。

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