××夫婦、溺愛のなれそめ

特に最後の方の質問なんて。「レヴィが高収入の職業だったら、友達を紹介してほしいな」と言っているようにしか聞こえない。

「今からどうするんですか。お食事とか?」

「私たちも一緒じゃダメですか? おいしいお店知ってるんですよ」

後輩たちは私と由香を無視し、なんとかレヴィの興味を自分に向けさせようとしている。

むかむかした。自分勝手な女子という生き物に、心底むかむかした。そして私も、同じ女子だ。

「ダメっ」

がっとレヴィの腕にしがみつく。レヴィは愛想笑いをやめ、驚いた顔で私を見下ろした。

「行こう、レヴィ」

「でも、莉子」

「でもじゃない。それともレヴィ、私以外の女性と仲良くなりたいの?」

噛みつくように顔を近づけて聞くと、彼はきょとんとした顔をして。

「いいや、全然」

きっぱりと、そう言った。それは周りを囲む彼女たちをばっさりと切り捨てる一言だった。

「じゃあそういうことだから。みなさん、ごきげんよう」

それだけ言い捨て、レヴィを引っ張って会社を後にする。彼女たちがどんな表情をしているかなんて、想像もしたくなかった。



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