××夫婦、溺愛のなれそめ
花嫁に出された条件
「莉子は、さっきの女の子たちと仲が悪いの?」
初対面の時と同じ、白い高級車の中でレヴィはまるで、学童保育に迎えにきた帰りの母親のような口調で尋ねた。
運転をしているのは神藤さん。彼は無表情で運転を続けていた。
この後、レヴィのお父さんと食事の予定。その場所に向かう途中だ。夕方の道は混んでいて、車はなかなか進まない。
「うん。嫌われてるの。私が悪いんだけどね。今日は直接じゃないけど嗤われてるのを聞いちゃって、それで」
「落ち込んでいたんだね」
「別に、私だってあの子たちが特別好きなわけじゃない。だけど、やっぱり人の悪意を肌で感じるのって、体に悪いみたい」
元カレと付き合い、結婚が決まった時の彼女たちの羨望の視線は、ハッキリ言って気持ちよかった。
けど、それが少し角度が変わっただけでこんなに恐ろしいものになるなんて。
「莉子が彼女たちに何か悪いことをしたの」
純粋な子供のような目で聞かないでよ……。
「まあ、ほら……自分が調子良かったときは彼女たちを思いやることをしなかったのよね。自分勝手っていうか、ほら、いるじゃない。何かと自慢げで鼻につく人」
「いるかな……」