××夫婦、溺愛のなれそめ
レヴィは自分のあごに手をあて、真剣に考え込んでしまう。
まあ、彼の周りには彼よりスペックの高い人なんていなさそうだものね。
「女どうしは色々あるのよ。もう気にしないで」
大丈夫だから、と言うのはやめた。さっきも怒られたばかりだ。大丈夫じゃないのに、大丈夫と言うのはよくないと。
「そんな嫌われ者にレヴィ様の奥様が務まるのでしょうかね……」
運転席からそんなセリフがぼそっと聞こえて、ぐっさりと私の胸を刺した。
「神藤!」
「い、いいのよレヴィ」
神藤さんの独り言は辛辣だけど、最もだ。レヴィの奥さんが人の気持ちがわからない嫌われ者じゃ、神藤さんも心配だろう。
人の上に立つ彼の奥さんが心の狭い人じゃ、その仕事ぶりにも影響を与えそうだものね。
うん、決めた。私、もうちょっと空気を読むようにしよう。ひっそりと、陰からレヴィを支えて、悪目立ちしないように生きていこう。
「ところでレヴィ、私この格好でいいのかな。メイクも直せてなくて……」
浅丘グループの会長であるレヴィのお父様との会食。いったいどんな場所で行われるのか、何も聞いていない。
ドレスコードがあるお店だったらどうする? なんて心配をする私に、レヴィは笑いかける。