××夫婦、溺愛のなれそめ
出会ったばかりの人間と結婚なんて、普通の親なら反対するに決まっている。
様子見ということになれば、そこから身辺調査をすればいい。その場で破談ならそれも良し。きっと神藤さん的には、自分がリストアップしたお見合い相手とレヴィをくっつけたいと思っていることだろう。
「でも、結婚できなければグループを追放されちゃうんでしょ。もっと綿密な作戦を考えた方が……」
そこまで言いかけたところで、廊下から声がかかった。
「お連れ様がお付きです」
ひい!
小さく息を飲んで、思わず背中をビシッと伸ばした。
障子が音もなくすっと開き、そこから現れたのは、スーツを着た長身の中年男性。そして、その秘書らしき初老の男性だった。
「どうも、お待たせしました」
どう見てもハーフのレヴィとは似ていない。けれど品がよく、頭髪もまだじゅうぶん残っている日本顔の男性は私にぺこりと頭を下げた。
こ、この人がレヴィのお父様。もっと偉そうででっぷり太ったおじさんを想像していた私は面食らった。
「な、中岡と申します!」
無意識に立ち上がり、深く頭を下げた。そんな私に、「そう緊張しないで。どうぞ座ってください」とレヴィの父親──浅丘グループ会長は笑った。