××夫婦、溺愛のなれそめ
「じゃあ父さん、すぐに入籍していいかな」
「ああ、いいよ」
レヴィが聞くと、会長はアッサリ同意。それでいいの? 結婚しなければグループを追い出すなんて言ったって聞いたから、もっと気難しい人だと思ってたのに。
これなら、私でなくても良かったんじゃあ……。
拍子抜けして、肩から力が抜けそうになった。そのとき。
「でも、ひとつだけ条件が」
会長が箸を置いた。私も慌てて箸を置く。
「なに? まだ条件?」
うんざりした表情でレヴィが聞くと、会長はニッと笑って私を見た。
「莉子さんは浅丘グループと縁もゆかりもないお嬢さんなんだよな?」
「そうだけど」
「なら、まずお前の秘書になってもらう。うちのグループの雰囲気、何をやっているか、お前の仕事がどういうものか、理解してほしいからな。お前も兄たちと共に、将来はグループの中核を担うのだから」
な、何ですって。私が、レヴィの秘書に?
驚いたのはレヴィも同じみたい。助けを求めるように見た彼のヘーゼルの瞳が見開かれていた。
「いや、でも僕は彼女には家を守ってもらいたくて」
結婚するなら、専業主婦になる。それが私がレヴィに出した条件だった。