××夫婦、溺愛のなれそめ

「じゃあ父さん、すぐに入籍していいかな」

「ああ、いいよ」

レヴィが聞くと、会長はアッサリ同意。それでいいの? 結婚しなければグループを追い出すなんて言ったって聞いたから、もっと気難しい人だと思ってたのに。

これなら、私でなくても良かったんじゃあ……。

拍子抜けして、肩から力が抜けそうになった。そのとき。

「でも、ひとつだけ条件が」

会長が箸を置いた。私も慌てて箸を置く。

「なに? まだ条件?」

うんざりした表情でレヴィが聞くと、会長はニッと笑って私を見た。

「莉子さんは浅丘グループと縁もゆかりもないお嬢さんなんだよな?」

「そうだけど」

「なら、まずお前の秘書になってもらう。うちのグループの雰囲気、何をやっているか、お前の仕事がどういうものか、理解してほしいからな。お前も兄たちと共に、将来はグループの中核を担うのだから」

な、何ですって。私が、レヴィの秘書に?

驚いたのはレヴィも同じみたい。助けを求めるように見た彼のヘーゼルの瞳が見開かれていた。

「いや、でも僕は彼女には家を守ってもらいたくて」

結婚するなら、専業主婦になる。それが私がレヴィに出した条件だった。

< 63 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop