××夫婦、溺愛のなれそめ
もしかして、料理もできない女と思われた? 私が何もできなければ、すぐに呼んでくれということかしら。失礼しちゃう。
けれどレヴィは神藤さんの言葉を素直に受け取ったみたい。
「ありがとう」
お礼を言うと、神藤さんは頭を下げた。
「では、失礼いたします」
きびきびとした動作で彼が出ていくと、今度こそ本当に気が抜けた。
あの人、レヴィには忠誠を尽くしているけど、私のことは監視しているような目で見るんだもの。
リビングのソファにドスッと座ると、コンビニの袋からサンドイッチやから揚げ、プリンなど欲望のまま買ってしまった食料を探る。
「レヴィも食べる?」
プラスチックのカップに入ったティラミスを差し出すと、彼はふるふると首を横に振った。
「僕はお腹いっぱいだから。莉子はあまり食べられなかっただろ。遠慮しないで全部食べるといい」
レヴィはそう言いながら、スーツの上着を脱ぐ。片手でネクタイをゆるめる仕草にドキッとした。
あら、セクシー……って、じろじろ見ちゃ失礼かな。
視線を外してサンドイッチをもぐもぐしていると、レヴィが優雅に隣に座った。