××夫婦、溺愛のなれそめ
視線を感じ、ゆっくりと横を見る。と、レヴィがじっとこちらを見つめていた。
「あの……食べにくいんですけど」
「いいよ。食べてて」
「いや、そう見られると……」
ハッキリ言って食べにくい。サンドイッチを一切れ食べた私は、かさかさと他のものを袋に戻した。
「ごめんね、気になるよね。じゃあ、お休みなさい」
自分の部屋でゆっくり食べよう。袋を持って立ち上がると、レヴィも一緒に立ち上がる。
「莉子、ひとつだけいいかな」
「なに?」
「また、言ったよね。大丈夫じゃないのに、大丈夫だって」
なんのことだっけ。夕方からのことを一通り思い出す。そういえば、会長にレヴィの秘書になれと言われ、渋るレヴィに向かってそう言ったような。
「きみは専業主婦になることを望んでいたはずだけど?」
「そうだけど……仕方ないじゃない。秘書にならなければ、きっとあそこでさようならされてた。レヴィもグループを追い出されちゃうでしょ」
「僕のためにムリをしなくていい」
部屋に続くドアの前で通せんぼをしたまま、レヴィは私をにらむように見つめる。
「莉子の献身はありがたいよ。でも、僕の前で強がらないで。辛いときは辛いって言って」