××夫婦、溺愛のなれそめ
レヴィはそう言うと、突然両手を広げ、私を抱きしめた。
「一目惚れだって言ったの、嘘じゃないから」
耳元で囁かれ、心拍数が爆発的に増える。
「お互いの利害が一致した契約結婚であることは間違いない。でも僕は、莉子のことが好きだ」
す、好きって……。そんなにストレートに言われたの、いつぶりだろう。
レヴィが言葉を紡ぐたび、胸の奥が痛くなる。
「莉子は全部忘れているみたいだけど、初めての夜、たくさんたくさん自分の話をしてくれた。だから僕は、莉子が思っている以上に莉子のことを知っている」
トクトクと鳴っていた心臓が、止まりそうになった。
私、お酒で記憶をなくしているうちに、いったい何をしゃべったんだろう。
「たしかに僕は、切羽詰まっていた。だけどそれだけできみと結婚しようと思ったわけじゃない。きみが幸せでなければ、笑っていてくれなければ意味がないんだ」
顔だけを離し、私を見下ろすヘーゼルの瞳。
透き通った向日葵に視線を奪われていると、ふっと柔らかな唇が私の唇を奪った。そしてすぐに離れる。
それはとても優しくて、夫婦の義務でできるようなものじゃない。なんとなくだけど、そう感じた。だって、彼の唇はとても暖かく、癒すように私を包み込むから。