××夫婦、溺愛のなれそめ
写真を撮れない代わりに、素敵な王子様が傍にいる。それだけで満足だ。
どんな味の料理が好きかとか、小学生の時はどんな遊びをしていたかとか、とりとめのない話題は尽きることはなかった。
だって私たち、まだお互いのことを良く知らないんだもの。
「ワインを頼もうか。今夜は飲みすぎない程度に」
くすくすと笑いながら、レヴィがウェイターを呼ぶ。
「わかってる」
初日の失態を繰り返すわけにはいかない。
魚料理を口に運びながら、ふとレヴィの顔を見る。長いまつ毛が頬に影を作っている。
そう言えば、初日以来、してないな。
同じマンションで過ごしているのに、レヴィはキス以上のことをしてこない。いったいどういうつもりなんだろう。思わずじっと見つめてしまう。
「……どうかした?」
視線に気づいたレヴィが顔を上げる。
「ううん、なんでも!」
どうして何もしないの、なんて聞けるわけない。したいです、って言っているように思われちゃうから。
ああ、初日の記憶がないの、今さら不安になってきた。体の相性が悪いとか思われてたらショックだな……。
「やっぱりどうかしたんじゃ?」
困惑顔で覗き込んでくるレヴィ。