××夫婦、溺愛のなれそめ
「ああ、そうだ。莉子さん」
「はい」
後ろから声をかけられ、おそるおそるキッチンを振り返った。
「レヴィ様のことが本当にお好きなら、今日からお弁当を作って差し上げたらどうでしょうか? 作りおきおかずを何品か一緒に作りましょう」
「え、ええ~……」
毎日はさすがに面倒臭い……。っていうか、レヴィって弁当食べる時間あるの? いや、ランチのためにお店に行く方が時間的にはロスが多いか。
「やっぱり、リベンジ……」
「や、やりますよう、やればいいんでしょ」
「アイロンがけももう一度お教えしますね」
「はいい……」
姑……じゃない、神藤さんとこんなやりとりをしているところにレヴィが着替えを終えてやってきた。
「なんだか楽しそうだな」
楽しくないわ。うっかりどうでもいいことしゃべっちゃったせいで、こっちは強請られてるのよ。
レヴィからそっぽを向いて、ぐっと唇を噛んだ。
いい奥さんになれるよう、頑張らなくちゃ……。