××夫婦、溺愛のなれそめ

着替えてきたレヴィが席につく。今日も完璧な王子様だ。その容姿は先日三十路を迎えたようには見えない。

「いってきます」

準備を整え、レヴィが出かけていく。

「いってらっしゃい」

玄関まで送り出しに行くと、レヴィが私を抱き寄せ、おでこと唇に一回ずつキスをした。

ドアが閉まったのを確認し、急いで部屋の中に戻る。

昨夜ネットで注文したお弁当箱が、午前中には届くはず。それまでに………。

キッチンに戻り、エプロンをつけ直す。そして、昨夜神藤さんが残していったレシピを取り出した。

まだ昨日作ってないレシピがたくさんある。

その中から家にある材料でできそうなものを選び、早速調理を始めた。

「はじめてのお弁当だものね」

お弁当って何か格好悪い気がして、元カレにも作ったことはない。

勤めているうちは早く起きたくなかったし、デートでは綺麗な写真が取れそうなランチを食べるのが楽しみだった。もちろん、相手のおごりで。

ショボい牛丼屋なんて許さない。会社の子に見られたらえらいことだ。それに、私を愛してくれているなら、素敵な食事をさせてくれて当然でしょう?

前まではそう思ってたけど、今は違う。私は奥さんなの。家庭を持ったのよ。家族を大事にしなきゃ!

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