××夫婦、溺愛のなれそめ
神藤さんに言われたときは面倒臭いと思ったけど、一晩よく考えてみたら、気が変わってきた。
今まで私は、彼氏に大切にされることを望んでばかりいた。
セレブと結婚して、何不自由ない生活をしたいと望み、自分の力で何かを成し遂げようとしたことはない。
綺麗でいれば良いのだと思い、それ以外にはなにもしなかった。
でも、それが間違っていた。元カレには私が彼を本当に好きなわけじゃなかったのがバレバレだったし、そんな私は結婚前に愛想を尽かされてしまった。
せっかく手に入れた幸せな生活を維持するためには、レヴィを大切にしなくちゃいけない。
神藤さんに言われると反感が募って面倒になるけど、私の今の仕事は二人の生活を快適にすること。
一円ももらえないのにどうしてやらないといけないの?と今まで敬遠していた家事だけど、やっぱり快適な生活を維持するためにはきちんとやらないとね。無理しない程度に。
とにかく、朝食とメニューが丸かぶりのお弁当は作りたくなくて、せっせと新しいおかずを作った。
多めに作って保存しておけば、今後が楽になる。
そうして全てのおかずを作り終えたとき、インターホンが鳴った。宅配業者だ。
受け取った荷物を開封すると、中には注文したお弁当箱が。