××夫婦、溺愛のなれそめ
「円形曲げわっぱ弁当箱、二段重ねー!」
ひとりで、お腹に四次元ポケットがついた猫型ロボットの真似をする。国民的キャラクターのアレ。
洗って乾かし、せっせとおかずを詰めていく。ご飯はあまり多くならないように。炭水化物は糖尿病の元凶だものね。
「いろどり、よーし。栄養、よーし」
最終的に指さし確認。
SNSに載せても大量いいね!をもらえるようなクオリティではないけれど、自分では満足いく仕上がりになった。
時計を見ると、もう11時。
「ああっ」
12時に休憩に行くとしたら、間に合うか間に合わないかぎりぎりのところだ。
お茶を水筒に入れ、保温バッグに入れる。おっと、メイク直しも忘れちゃいけない。
準備万端で部屋を出て、タクシーを拾った。
びっくりさせたくて黙っていたけど、レヴィは喜んでくれるかな?
膝の上でお弁当を抱え、彼の勤め先に向かう途中、ずっとドキドキしていた。
こんな風に期待を込めた緊張をするの、いつぶりだろう。
そんなことを考えながら、窓の外を見つめていた。