××夫婦、溺愛のなれそめ
嫌われる女と好かれる女

目的地に付き、タクシーを降りた私は絶句していた。

あの浅丘グループ傘下の企業と聞いていたから、大きいだろうとは思っていたけど、まさかこれほどとは。

私は目の前にそびえ立つ高層ビルを見上げ、天に届くほどと言われたバベルの塔があった古代バビロニアに思いを馳せた。

「いや、馳せてる場合じゃない」

腕時計を見ると、もう12時を少し過ぎている。早く連絡しよう。

サプライズって難しいなぁ。やってもらう方は嬉しいけど、仕掛ける方は大変。

携帯から電話をかける。すると3回程の呼び出し音のあと、レヴィの声が聞こえてきた。

『莉子? 何かあった?』

その声に私を心配するような響きを感じて嬉しくなる。

平日はメールはしても電話はしない。そんな私から着信があったから、何かあったのかと思うんだろう。

「あの、お仕事中にごめんなさい」

『今休憩しようと思っていたところだから大丈夫だよ』

なんと。すごくいいタイミングじゃないの。

「お昼ご飯はまだ?」
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