三澤斗春と恋する犯罪者




不可解な現象で、胸ポケットから飛び出した無数の名刺は、風に乗り、意思のある生き物のように群れをなし、舞う。



私は、突然のことに名刺が流れるように飛んでいくのを見送るしかできなかった。





そして、

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」



風の果て、全ての名刺が1人の男に張り付いていた。

確信しかなかった。



私は、足早に近づき、手に残った最後の名刺を差し出した。




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