俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
『私の婚約者』
誰かを好きになって思いが通じ合う。それだけで奇跡だと思った。

でも大人になるとその先を願うようになり、恋人という関係だけでは物足りなくなって、永遠の約束を望んでしまうの。

だからこそ好きな人にプロポーズされた時は、どんなに嬉しかったか。

左手薬指にある永遠の約束さえあれば、私はこのまま幸せのゴールへたどり着けるはず。

そう信じて疑わなかった。




「お待ちしておりました、佐藤様。今担当の者が参りますので、こちらにかけてお待ちください」

「はい、ありがとうございます」

来客を案内し、すぐさま内線をかけて担当者を呼び出す。

ここは私が勤めている『有限会社 クラルテプロモーション』。都内のオフィス街にそびえ立つ、四十五階建てビルの三十階フロア全体がオフィスとなっている。

主にwebサイト全般に関するコンサルティング業務を行っている会社だ。

そこで私、大川千和(おおかわ ちわ)は受付に配属され、日々業務に当たっていた。
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