俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
『私は幸せ! ……なはず』
「和臣さん、ごちそうさまでした。すごく美味しかったです」

「いやいや、俺の方こそ待たせて悪かったな。……本当、美味しかった」

あれから仕事を終えた和臣さんとやって来たのは、都内でも有名な日本料理店。


和臣さんが以前、仕事で訪れた際にここの料理の味に惚れこみ、『ぜひ千和にも食べさせてあげたい』と思い、連れてきてくれたらしい。

その話を見た目は美しく、味は最高に美味しい料理を頂ながら聞いた時は嬉しくてたまらなかった。

お店を後にし、駐車場へと向かう。

その道中、彼の腕はさり気なく私の背中に回されていて、それだけで幸せを感じられるから不思議だ。

「送っていく」

「ありがとうございます」

いつもは通勤の際、和臣さんが田中さんが運転する車で出勤しているけれど、今日みたいに私と出かける日は、こうして自分の車で出勤している。

車の中の時計を見ると、時刻は二十二時前。ここから私が住むマンションまでは車で十分ほど。

和臣さん、明日は朝早いのかな? 次の日の予定によってだけれど、彼はたまに私のマンションに泊まっていく。
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