俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「アハハ……実はそのまさかだったりして」

陸斗は目を丸くさせた。


「マジかよ。お前、自分の誕生日を忘れるなよな。っとに、そういうところ昔から変わっていないのな。たしか二十一歳の誕生日も忘れていたよな?」

「……そうでした」

徐々に記憶が鮮明に蘇ってくる。


陸斗の言う通り、私は二十一歳の時自分の誕生日を忘れていて、陸斗がサプライズで誕生日を祝ってくれた時、最初は意味がわからずキョトンとしてしまったんだ。それにしても……。

「陸斗、よく私の誕生日を覚えていたね」

もう別れて六年にもなるのに。

すると陸斗は得意気な顔を見せた。

「当たり前だろ? 忘れてねぇよ。千和の誕生日はもちろん、付き合い始めた記念日も」

彼の言葉に胸がトクンと鳴る。

だって私も覚えているから。

陸斗の誕生日も私たちが付き合い始めた記念日も。けれど覚えているのは、私だけかと思っていた。まさか陸斗も覚えてくれていたなんて……。
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