俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「え、和臣さん!?」

モニターに映っていたのは、笑顔で手を振る私服姿の和臣さんだったのだから。

『おはよう、千和』

「ま、待っててください、今開けますね」

突然家を訪ねてきた和臣さんに動揺しながらも、ドキドキする。

やっぱり和臣さんは私の誕生日を知っていて、だからこうしてなんの連絡もなしに急に来たのかもしれないと。


駆け足で玄関へ向かうものの、そこでハッとする。

今の私の姿はラフな部屋着で、おまけにノーメイク状態だ。

こんな姿で出るのはどうなんだろう。

「千和?」

けれどドアの向こうには和臣さんがいる。このまま外で待たせて着替えやメイクをするわけにはいかない。

何度か彼には素顔も部屋着姿も見られているから大丈夫! と自分に言い聞かせ、ドアを開けた。

「すみません、お待たせしてしまって」

「いや、こっちこそ急に来て悪かったな。……上がってもいいか?」

「は、はい」

彼を招き入れる。

「今日の予定は?」

「とくにはありませんけど……」

答えると彼はにっこり笑った。
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