俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「それよりも健太郎！　ちょうどいい、次の店でお前に言いたいことがたくさんあるんだ！」

『それよりも』？

彼の言葉にピクッと身体が反応してしまう。

和臣さんにとって私って、どんな存在なんだろう。


私の誕生日を知らなかったのは仕方ないかもしれない。言わなかった私も悪いし。でもふたりでデート中なのに、会えばこうして灯里ちゃん夫婦のことで頭がいっぱいになる。


この先も和臣さんが変わることはないよね。きっと彼にとって灯里ちゃんは絶対的な存在で、私は二の次にされそう。

例えそれが、自分の誕生日だとしても。


私……このまま和臣さんと結婚してもいいのかな？　大好きな人と結婚できたら幸せだし、その幸せだけで一生暮らしていけると思っていたけれど、本当にそうなの？

陸斗だって好きだと思ったから結婚したと言っていた。

でもその幸せな結婚生活は長く続かなかったんだよね。

私と和臣さんはどうなんだろう。今のまま結婚して本当にいいの？

不安は大きくなり、モヤモヤした気持ちは広がっていく。
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