俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる

「千和さん、少し考えてみてはいかがですか？　自分の兄ですが、本当に不甲斐なくて最低な人で申し訳ないです。こんな今のままのお兄ちゃんと結婚しても、千和さんが幸せになれるか心配です」

「あ、灯里……っ！」


最愛の妹である灯里ちゃんにここまで言われて、これはもう和臣さん、再起不能かもしれない。――でも灯里ちゃんの言葉、胸に突き刺さった。

私も正直不安。このまま和臣さんと結婚して私は幸せになれるのか。

結婚は好きって気持ちさえあればできると思っていたけれど、本当は違うのかもしれない。

この先の長い人生、一緒に生活することができるかどうかなのかもしれない。


きっと和臣さんと結婚したら、毎日が幸せだろうけれど、灯里ちゃん夫婦となにかあるたびに、こうして二の次にされちゃっても私は笑っていられるだろうか。

そこまで想いが巡った時、結論が出た。

笑っていられるわけがない。

だからこそ、結婚する前にもう一度自分の気持ちと向き合うべきなのかもしれない。

「あの、和臣さん」