俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
呆然とする和臣さんに声を掛けると、ハッとし私を見ると慌て出す。

「す、すまん千和! まさか今日がお前の誕生日だとは知らずに……!」

そして今になってやっと謝ってくれた。


できたら灯里ちゃんから聞いてすぐに謝ってほしかった。……灯里ちゃんに色々言われて落ち込んで、きっと私の誕生日のことなんて頭から抜けちゃったんでしょ?

そう思うと決意は固まるばかり。

困惑する和臣さんを真っ直ぐ見据えた。


「和臣さん……婚約しましたが、一度白紙に戻してもよろしいでしょうか?」

「…………え」

目を丸くさせ驚く彼。

けれど私はこのまま彼の婚約者を続ける自信がない。

やっぱり好きな人にとって一番の存在でありたいから。
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