俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「代表、今から開発部との会議があるとさっき車内で申しましたよね? 早く会議室に向かわれてください」

「いや、しかしっ……」


「はっきり言って完全に代表が悪く、大川さんに婚約破棄されて当たり前です。せめて代表として仕事だけはきっちりなさってください」

ギョッとし顔を上げると、和臣さんの表情から『ガーン』という効果音が聞こえてきそうだ。

容赦なく言うと田中さんは固まる和臣さんの背中を押した。


「反省と謝罪はお仕事が終わってからしてください。行きますよ」

そのまま背中を押されていく和臣さん。

受付の前を横切る時、ふと彼と目が合ったものの思わず逸らしてしまった。

すると和臣さんはオフィスへと続くドアが閉まる直前に叫んだ。

「千、千和―! 俺が悪かった!! 許してくれー!」

「だからそれはお仕事を終えてからにしてください」

「バカ野郎! そんな悠長なことを言ってられるか! 田中は俺が不幸になってもいいのか!?」

「そうなったら自業自得かと」

「な、なにをぉ!? あ、こら! やめろー!」
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