俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「す、すみません! 千和さん、こちらの方は!?」

警戒心剥き出して聞いてきた灯里ちゃんに、陸斗のことを紹介した。


「あ、えっとこちらは高校からの友達の三沢陸斗さん。陸斗、こちら私の後輩の佐々木灯里ちゃん。可愛いでしょ?」

「あぁ、可愛いなお前と違って」

「ちょっと失礼な!」

すぐに言い返すと、陸斗は可笑しそうに笑う。

あぁ、懐かしいなこの感じ。陸斗とはいつもこんな感じだった。

お互い言いたいことを言い合って、可笑しくなって笑い合って。この空気が心地よかった。

「っと千和! やばい、そろそろ行かないと間に合わなくなる!」

「あ、うん。……ごめん灯里ちゃん、また明日」

先に歩き出した陸斗の後を慌てて追う。

「あっ、お疲れ様でした!」

背後から聞こえて灯里ちゃんの声に振り返り挨拶を返し、オフィスを後にした。



「うわぁ、すごい夜景。ちょっと陸斗、無理したんじゃないの?」

「こら、そういうことを大きな声で言うな! 見栄を張らせろ」

あれから陸斗とやって来たのは、都内が一望できるホテル最上階にあるレストラン。
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