俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「なんだよ、好きすぎてなにも言えないってか？　それじゃお前、今はいいかもしれないけど、そのうち息が詰まるぞ？　ストレス溜まっていいことなんてひとつもない」

経験者の陸斗に言われるとなにも言えなくなる。

すると彼らしいエールを送ってくれた。


「俺は千和の無鉄砲で自分の意見をはっきり言う凛々しい姿に惹かれたんだ。……昔のままの千和でずっといて欲しいと思っている」

「陸斗……」

「それとなにより、幸せでいて欲しいよ。初めて好きになって付き合った彼女だからこそ余計に」

陸斗の想いに涙が溢れそうになった。

「……ありがとう、陸斗。……私もだよ」

涙を堪え彼に伝えた。

「千和……」

陸斗はいつまでも今の陸斗のままでいて欲しいし、幸せになって欲しいから。

目を見開き驚く陸斗。けれどすぐに表情を崩した。

「なんか照れるな、お互いこんなこと言うなんてさ。昔だったら絶対言えないことだったよな」

「たしかに」

昔の幼い私たちではこんなこと言い合えなかったはず。

そう思うとお互い顔を見合わせ笑ってしまった。
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