その日、" 恋 "を知りました。

「──そういえばお嬢さん、制服姿の様だがこれから学校ではないのか?こんな所で知り合ったばかりの叔父さん相手に話をしている時間なんて無いと思うのだが……」

彼はすぐ様袖を捲り、銀色に囲まれている腕時計を一瞬確認して変わらぬ表情で時間を伝える。

「そうだッ!!私これから学校なんです…!!!」

現在時刻は" 9時過ぎたばかり "
今から学校に着くまでには、電車を待つ事は出来ない為徒歩で凡そ" 10分弱 "

───今の時点で完璧な〝遅刻〟だ

「ち、遅刻だぁ……」

今学校へ行けば先生への怒鳴り声を初っ端から聞くことになるだろう、その悲しみで思わず言葉を漏らした。


「まあ、普通の高校ならこの時間帯での登校というのは遅刻確定だな。さて…どうする?」

「…行かなきゃいけない所には行かないと…なのでお先に失礼しますね」


学校だけは、行かなくてはならない

───私には何も" 得意分野 "という存在が無いのだから 。

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