眠り王子が人ではなかったのですが。
「出てくるなよ」
白い長毛の猫が、優雅な足取りで近づいてきた。隣に座る彼は、面倒くさそうに呟く。
「お前も姿をさらしたではないか」
「ソレとコレとは訳が違う」
二人で、仲良さそう??に話をしていた猫は、私の前にチョコンッと座ると優雅に尻尾を振った。
「私の名は茶々、お前の名を聞いても良いか??」
『あ、平塚朱里です!!……って、猫が喋ってる!?!?』
「反応おそ……」
猫を二度見する私に、彼は呆れたような声を上げた。
仕方ないじゃないか、もう脳内がついていけてないんですこの状況に。一テンポ送れて情報が入ってくるんですよ。
『喋る猫なんて、凄いですね。あの……撫でてもいいですか??』
「お前、手つき」
ワキワキと手を動かす私に、彼は若干引き気味。茶々は特に気にする事もなく、頭を縦に振った。