眠り王子が人ではなかったのですが。
「僕の名前は、雪島真白(ユキシマ マシロ)よろしくね」
『平塚 朱里です。よろしくお願いします』
「同い年なんだし、もっとラフにしようよ」
ギギギッと効果音が付きそうなほど、ぎこちなく頭を下げる私に雪島君は笑った。
「鬼田 千晶(キダ チアキ)」
『よろしくお願いします』
頭を下げると、ギロリと睨まれた。ヒィィッ!!!!
「千晶口下手だから、許してね。目つきも悪いから怖がられるけど、むしろ優しいんだよ??」
無口な鬼田君の事を、雪島君が代弁する。
「すまん」
短めな眉毛が、ハの字に垂れ下がる鬼田君。どうやら先ほどのは睨まれたのではなく、ただ私を見ただけだったようだ。
勘違いして怖がるとか、申し訳ないことをした。
『こちらこそスイマセン。睨まれたのかと思ってしまって』
素直に謝ると、鬼田君は吃驚したように目を丸めた。そして、フニャッと笑みを浮かべた。
「いいよ。平気」
あれ、笑うと幼い雰囲気になるんだなぁ……。笑う鬼田君を見て、可愛いと思ってしまった。