眠り王子が人ではなかったのですが。
「俺、お腹すいてないから。ほら」
グイッと渡されたシュークリームを、しぶしぶ受け取る。いや、嬉しいんですけどね。
『有難うござい……ます』
「いえいえ」
お礼を言い、茶々にも少し分けてあげる。太ってしまうと思いつつパクッと口に入れる。幸せだぁ。
「美味そうに食うな」
「そうだねぇ。こんなに喜んでもらえたら、次も張り切って作れるよ」
シュークリームを口にしながら、鬼田君と雪島君が話をしている事に耳を傾けた。もちろん食べる手は止まらない。
『本当に美味しいです。雪島君のことを心の底から尊敬します』
「お前、クリーム付いてるぞ」
『え??』
感動を伝えていると肩を叩かれた。大路君の方へ向くと長い指が頬に付いていたであろうクリームを掬い取る。
「……あま」
『え??……あ、え??』
掬い取ったクリームは彼の口の中へ。状況がつかめずフリーズしていたが、段々と頬に熱が溜まっていく。
二重の意味で恥ずかしい!!!!