眠り王子が人ではなかったのですが。




授業、地獄のような休み時間を繰り替えし、やっと放課後。



彼のお隣はかなり体力を消耗する。女子たちの多種多様な香水のチャンポンした臭い。そして甲高い黄色い声。



わかりますよ??わかります、カッコいいのは分かります。



彼がカッコいいのも、理解は出来るが近所迷惑すぎる。超被害をこうむるわけで。



帰る準備をし、よっこらと立ち上がる。



ゲッソリとした私を待っているのは、もっとゲッソリすること。



『見ないようにしなきゃ』



教室を出た瞬間。背筋がゾワゾワとする。アレが近づいた証拠だ。



見ないように、見ないようにと俯いて歩く。昇降口で靴に履き替える頃には、背筋の凍るような感覚がなくなっていた。



一難去ったのだとホッとし顔を上げた先には、血だらけの幼女。私と目が合うと不気味な笑みを浮かべた。



《ヤット見テクレタァ》



ヒッと悲鳴を上げそうになるが何とかこらえ、ダッと駆け出した。



< 3 / 38 >

この作品をシェア

pagetop