繋いだ歌【完結】
「よっ」
「よっ、じゃないよ。学校休んでどうしたの?」
「ずっと作ってた」
そう言って見せたのはUSBメモリー。
作ってた、って、もしかして。
「……それって動画?」
「当たり前じゃん。早く中に入れて。んで、俺少し寝たい」
凄い勝手だ。だけど、僕の作った月影色に合わせて作られた動画。
それは純粋に見たかった。
部屋に案内してすぐにベッドに倒れ込んだ田所は、そのまますぐに寝てしまった。
僕は制服のまま、着替えることなくパソコンを立ち上げUSBメモリーを差し込む。
流れてきた聞き慣れた僕の曲と、映像。
僕はそれを無我夢中で見ていた。
終わるまでの数分、微動だに出来なかった。
瞬きするのも惜しかった。それぐらい見逃したくなかった。
僕の音楽はこうして生まれ変わるのか。
寝ている田所を僕は叩き起こした。
薄らと目を開け、寝ぼけている田所に僕は言った。
「ありがとう、作ってくれて」
どうしても、今言いたかった。
僕は僕の曲を聞いてくれたのが田所で良かったと心の底から思った。