繋いだ歌【完結】


「ちょっとケー!? 貴方、いい加減にしてください!
心配したんですからね? もしかしたらもう作るのが嫌になってしまったのかと思って」

「……嫌になってたよ」

「え」


そう答えると、真史の動きが止まった。
僕の次の言葉を待つ真史。


「真史。一つだけお願いがあるんだけど、いいかな」

「何ですか」

「この先、もしも僕が求めている人を見つけることが出来たら全ての楽曲提供を断ってもいいかな」

「貴方は何をっ……!」

「それまでは何曲だって作る。だけど、もしも僕が探し求めた人を見つけたらきっとその人の為以外の曲は作れないと思うんだ。
他の人に歌わせようとしたって、ダメなんだ。もうその人の曲になってしまうから」

「……それがケーの様子がおかしかった原因ですか?」

「そう」


それだけで真史は全てを汲み取ってくれていた。
音楽でしか伝えられない僕の唯一の理解者。


「天才が追い求める人物、ですか。だけど、ケー。もしもその人物に才能がないと判断したら私はデビューさせませんよ」


その言葉に僕の頬が緩んだ。それでこそ、真史だよ。

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