繋いだ歌【完結】


「私は悲しみや憎しみなんて欲しくないですよ。
付き合ってく上で欠かせないモノだとしても。
後に続く歌詞の笑顔で生きていこうね、に続く言葉なのだからしょうがないけど。
私は相手の持って来る悲しみや憎しみよりも、それを忘れさせるような言葉をあげたい」


そう言った彼女に、僕は確信した。
間違いがないって思っていたけど、その考えが合っていたんだと胸を張って言える。


きっと、彼女なら僕の歌も、歌詞も、全て汲み取ってくれるって思えたから。


不躾に僕は僕の歌を歌って欲しいと、自分のアルバムを手渡して、名前を尋ねた。


〝ひまり″


ひかりちゃんだなんて、冗談で言っていたけどひまりだなんて、どうしてこんなにも彼女は綺麗なのだろうか。

ひまりとか、まるでひだまりみたいだ。
彼女は陽の光のようで、想像していた以上の存在に僕は喜びを隠しきれなかった。


明日も来るかな。早く会いたいな。
片想いでもしたかのように、僕はウキウキとしていた。


だけど、体調が良くないのにずっと外にいた所為で僕は翌日熱を出してしまった。
熱にうなされる僕を、真史がほれ見たことかと言わんばかりに看病する。


「お願い、真史。毎日行くって約束したんだ。行って来て」

「貴方が行くって言ったからといって、来るかわからないじゃないですか」

「絶対に来る。ひまりはそんな子じゃない」

「はあ、全く貴方って人は。……一時間。一時間待って来なかったら私は帰りますからね」

「うん、一時間でもいい。ありがとう真史」

「代わりにしっかりと寝ていてくださいよ?」

「わかった」


そうして、真史はちゃんと駅前に向かってくれた。
だけど、ひまりには会えなかったらしい。

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