繋いだ歌【完結】


「来栖って歌うまいよな」


夏休み前。急に休み時間にこう声をかけてきたのは、クラスメイトの田所だった。
それに訝しげな顔をしながら答える。


「いきなり何」


僕が動画を投稿するようになったのも、文化祭で歌うようになったのも、それは全てこいつのお陰だ。
……いや、こいつの所為と言った方が正しいのか。


「なあ、文化祭で歌わない?」

「……は?」


更に眉間に皺を寄せ、僕は田所の顔を睨みつけた。


「俺さ、音楽の授業の時隣じゃん? うめえな~と思ってたんだけどさ、ほら藤村。藤村に聞いたんだよ。
来栖がギター弾けるってこと」

「……藤村。あいつ」


今では隣のクラスの藤村だけど、一年の時は同じクラスでよく話していた。
たまに今でも遊びに行ったりする。

そんな藤村に最近、ギター買いたいんだよねと言われ、一緒に楽器店に行って教えたんだ。
その時、確かに僕もギターを持っていて弾けるとは言ったけど。

まさか、こいつに伝わっているとは。
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