繋いだ歌【完結】


「何、誰の曲弾いてんの?」

「僕は誰かの曲は弾かないよ」

「……え、それって。まさか、自作ってこと?」

「そうだけど、何か」


さっきまでニコニコしていた田所が、真顔になって聞き返すから素っ気なく言うと急にガシっと肩を掴まれた。
突然のことで驚く僕。


「すげえじゃん!!! なあ、それ文化祭で披露しようぜ!!」

「は!? 嫌だよ!」

「何で!?」


何でって、それが何でだよ。僕にとったら。
完璧趣味でしかない作曲を、誰かに披露するだなんて恥ずかしくて死ぬ。ただの拷問だ。


「僕の曲は披露出来るような作品じゃないんだよ。完成したのもあるけど、殴り書きしたような一節がたくさんあるだけだ」

「それ繋ぎ合わせたら曲になんねえの?」

「そんな簡単じゃない」

「そっか。俺にはそんな才能ないから、来栖がそう言うならそうなんだろうな」


妙に素直に納得して、田所は頷いた。
こいつのこういうところは嫌いじゃない。

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